【転載】VSOLJニュース(030)

メシエ61に出現した超新星1999gn


著者 :山岡均(九大理)
連絡先:yamaoka@rc.kyushu-u.ac.jp

6月8日付けのVSOLJニュース(018)で、メシエ88に超新星1999clが出現したことをお知らせしました。110番まであるメシエ天体のなかには銀河は40個弱しかなく、ひとつの銀河当たりに出現する超新星はせいぜい100年に1から2個程度とされているため、メシエ天体の超新星は毎年1個あるかないかくらいのものです。ところが、今年は当たり年なのか、2例目のメシエ天体超新星が発見されました。

IAUC 7335に報じられたところによると、イタリアのアマチュア天文家Alessandro Dimaiさんが、12月17.219日(世界時)に撮影したおとめ座の銀河メシエ61のCCD画像から、16.0等の新天体を発見しました。リック天文台の自動撮像望遠鏡KAITによって翌日確認(15.5等と明るくなっていました)され、位置が測定されています。赤経12時21分57.02秒、赤緯+4度27分45.6秒(2000年分点)で、銀河の中心から東32秒、南40秒ほどの位置にあたります。この銀河はface-onの開いた渦巻を持つもの(Sbc型)で、この超新星は東側の腕に乗っています。母銀河のHII領域や星団、手前の星が数多くあるので、どの星が超新星か見究めるには注意が必要です。発見画像がで見られますので参考になるでしょう。

メシエ61は、おそらくおとめ座銀河団に含まれる銀河で、距離は15Mpcほどと推定されます。この銀河には、今世紀内に3つの超新星が発見されています。II型の超新星1926A、特異なII型の超新星1961I、そしてI型の超新星1964Fです。いずれも13等から14等級まで明るくなっています。今回の超新星1999gnはまだスペクトルが取られておらずタイプはわかっていませんが、12等級くらいまで明るくなる可能性もあり、今後の注目が必要です。

1999年12月20日

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転載: ふくはら なおひと(福原直人) [自己紹介]

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