M31(アンドロメダ銀河)に史上最も明るい新星か

著者 :加藤太一(京大理)
連絡先:tkato@kusastro.kyoto-u.ac.jp

 IAUC 6981(1998年8月3日付)によれば、Modjaz他はアンドロメダ銀河(M31)の中心近くに非常に明るい新星らしき天体を発見しました。発見者はVSOLJニュース(001)で報じられたSN1998dhの発見チーム(KAIT, Lick天文台)のメンバーです。

 新星の位置は以下の通りです。

00h 42m 37s.00  (J2000.0)
+41o 16' 56".7

 発見者によるノーフィルターのCCD測光では、新星らしき天体は7月19.5日(世界時、以下同様)には18等以下で検出されなかったところが、23.5日に16.1等、27.5日に14.4等に達し、その後減光しているようです。

 アンドロメダ銀河には過去にも多数の新星が発見されていますが、その最大光度が15.0等よりも明るくなったものはなく(たとえば最大光度15.0等の新星が過去1964,1983,1990年に発見されています)、今回の新星らしき天体が特異なものであることをうかがわせます。ちなみにアンドロメダ銀河に属することが確実なすべての変光星のうち、過去最も明るくなったものは、1885年の超新星S Andを除外すれば、最大光度14.8等に達した M31-VA1 と呼ばれる青色超巨星の変光星です。新星らしき天体の分光観測はまだ発表されていませんが、従来観測された新星よりも相当明るく、詳細な観測やCCD等を用いた追跡観測が望まれます。観測報告は著者連絡先にお送りいただければVSNET(Variable Star Network)等を通じて世界の観測者に通知させてい ただきます。

1998年8月4日

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