小惑星 (1089)Tama は連小惑星だった


 主に火星と木星の軌道の間にある小天体を小惑星と呼んでいます。小惑星が集中している領域を小惑星帯と呼び、ここでは稀に小惑星同志の衝突が起きるとされています。衝突によって、大きな小惑星が破壊されたりしますが、このとき小さな破片が大きな小惑星の衛星となったり、あるいは同じようなサイズの小惑星同志が連星のような、重力的に結びついて、連小惑星(バイナリー小惑星)になったりすることがあるといわれています。最近の観測技術の進歩により、衛星を持つ小惑星や、連小惑星が続々と発見されてきています。いままで発見された連小惑星系や衛星を持つ小惑星は、全部で30を越えています。

 このような系では、お互いの距離と周期とが観測からわかれば、天体力学的な手法によって、小惑星の質量の和がわかります。小惑星は惑星に比べて極めて小さいため、その質量を推定する方法が他にほとんどありませんから、このような衛星系あるいは連小惑星系はたいへん貴重です。そんな貴重な例に、日本とゆかりの深い小惑星が仲間入りしました。1927年(昭和2年)に当時の東京帝国大学東京天文台(東京都三鷹市)において及川奥郎(おいかわおくろう)が口径20センチメートル、ブラッシャー天体写真儀で発見した小惑星(1089) Tama (=多摩)です。小惑星(1088) Mitaka (=三鷹)とともに、日本で最初に発見された小惑星です。

 ジュネーブ天文台のベーレンド(R. Behrend)らのグループが、昨年の12月24日から1月5日にわたって5夜の観測データを解析したところ、この小惑星(1089) Tamaに、連小惑星特有の食現象が見つかりました。食現象は、相手の小惑星と重なってしまうか、あるいは背後に隠れてしまうために、明るさが急変する現象です。連続的に明るさを測定すると、二つの小惑星は 0.6852プラス・マイナス0.0002 日で回りあっていて、相互の食現象によって0.08 日間だけ、約 0.5等級暗くなっていました。このデータから、小惑星(1089) Tama は大きい方の小惑星に対して、小さい方は直径が7割ほどとされています。また、お互いの距離はわずか30キロメートルと推定されました。この距離は地上観測では分離できないほどのもので、今後ハッブル宇宙望遠鏡などで観測が行われれば、さらに詳しいデータが得られるに違いありません。

 小惑星(1089) Tama は現在、ふたご座にあって、地球から約1億5300万キロメートルほどの距離にあり、13等星と肉眼では見ることができない明るさで輝いています。

参照

2004年1月15日 国立天文台・広報普及室

訂正:「国立天文台・天文ニュース(693) 板垣さん、今年初の超新星を発見」で「ヘルクレス座の渦巻銀河NGC6027」とありますが、これは「NGC6207」の間違いでした。お詫びして訂正いたします。
4次元デジタル宇宙プロジェクト [天の川の秘密]の一般公開についてのご案内
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受付時間:15:30〜17:30
受付場所:管理棟ロビー
上映時間:約20分 (各回定員20名 総入替制)
チケット:返信はがきと引替に受付で上映回指定チケットを配布
申し込み:往復はがきでお申し込みください (詳細は下記URL参照)
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  定員:150名予定 (定員を越えた場合は抽選)
 参加費:無料 
 問合先:国立天文台広報普及室 電話0422-34-3688 (平日午前9時〜午後6時)
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詳細参照:4次元宇宙プロジェクト http://th.nao.ac.jp/~4d2u/
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  定員:150名予定 (定員を越えた場合は抽選)
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 問合先:国立天文台広報普及室 電話0422-34-3688 (平日午前9時〜午後6時)
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      2004年 3月27日公開 http://th.nao.ac.jp/~4d2u/4D2U/publicity8.html

転載:ふくはらなおひと(福原直人)