【転載】国立天文台・天文ニュース(441)
山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんが超新星を発見しました。
5月17日の夜、板垣さんはCCDカメラを装着した口径60センチ反射望遠鏡による観測で、「おとめ座」の銀河NGC5534の近くに15.9等の明るさの超新星を発見しました。この発見は板垣さん自身の5月12日および5月18日の観測写真で確認され、洲本市の中野主一(なかのしゅいち)さんを通して国際天文学連合に報告されました。その結果、この超新星にはSN 2001bqの認識符号がつけられました。この超新星は、リック天文台のカツマン超新星自動撮像望遠鏡(The Katzman Automatic Imaging Telescope)によって、5月10日に16等、5月14日に15.3等で記録されていたことが後からわかりました。SN 2001bqの精密位置は、
赤経 14h 17m 42.06s 赤緯 −7° 25' 1.6" (2000.0)
で、「おとめ座」の一等星スピカの15度ほど東、わずかに北によったあたりです。また、NGC5534の中心核から東へ27.6"、北へ1.5"寄った位置です。
NGC5534は「おとめ座イオタ星」の近くにあり、14等ほどの明るさ、さしわたしが1.4分ほどのかなり暗い銀河です。一方、超新星はここ数年100個以上200個近くが毎年発見されていて、このSN 2001bqは今年に入って69個目の発見になります。しかし、最近はコンピュータを利用した自動捜索が主流になり、今回のようにアマチュアがこつこつ探して超新星を発見する例は、かなり減ってきています。
板垣さんは、超新星を発見したのは初めてですが、以前1968年に、多胡・本田・山本彗星(C/1968 H1 Tago-Honda-Yamamoto)を最初に発見し、日本天文学会から天体発見賞を受賞した経歴があります。ただし、このときは報告が遅れたため、彗星に板垣さんの名はつきませんでした。
2001年5月22日 国立天文台・広報普及室