【転載】国立天文台・天文ニュース(425)
小惑星シルビアに引き続いて、小惑星カミラにも衛星があるらしいことが報告されました。
アメリカ、タウソン大学のストールズ(Storrs,A.)およびハッブル宇宙望遠鏡小惑星チーム(Hubble Space Telescope Asteroid Team)のビラス(Vilas,F.)たちは、ハッブル宇宙望遠鏡による3月1日の観測で、小惑星(107)カミラのすぐそばに、衛星と思われる像を発見しました。この像の存在は5回の撮像で確認されています。カミラに対する位置角は265度、見かけの角距離は0.6秒と報告されています。この見かけの色はカミラとほとんど同じですが、予備的な測定によると、明るさはカミラより7等級暗く、この像が衛星であるなら、この衛星の直径はカミラの25分の1程度と推定されます。
天文ニュース(421)で小惑星(87)シルビアの衛星についてお知らせした際、これまでに衛星を確認した小惑星をすべて挙げました。こうした現在の状況から判断すると、すべての小惑星が衛星をもつのではないにしても、小惑星に衛星が存在するのは、それほど珍しい現象ではないように思われます。
カミラは、6.48年周期、ほとんど円軌道で公転している、標準的なメインベルトの小惑星です。軌道傾斜は10度ほどあります。2001年は3月8日に衝になりました。現在はほぼ12等の明るさで、赤経11時8分、赤緯4゜53'の位置にあり、「しし座」を逆行しています。この小惑星は、シルビアと同様に、インド、マドラスのポグソン(Pogson,N.R.)によって、1868年11月17日に発見されています。カミラの名は、多分、ギリシャ神話に現われる女性の名からとったものでしょう。
2001年3月22日 国立天文台・広報普及室