【転載】国立天文台・天文ニュース(278)
マクマスター大学のカベラーズ(Kavelaars,J.J.)らの報告によりますと、かれらは、ハワイ、マウナ・ケア山の口径3.5メートル、カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡によるCCD観測で、7月18日から21日にかけて、天王星の衛星と思われる天体を,新たに2個発見したということです。発見時の明るさは、それぞれ23.4等と24.3等でした。これらの衛星には、S/1999 U1およびS/1999U2の符号がつけられました。
これらの天体が、仮にセントールと呼ばれる海王星より遠くに存在する小惑星だとしても、観測した位置はうまく説明できます。しかし、天王星の見かけの運動と動きが似ている遠距離でゆっくりした動きの天体はこれまで発見されていませんから、今回発見された二つの天体は、ほとんど確実に天王星の衛星と考えられます。
天文ニュース(260)、(261)で、天王星18番目の衛星発見をお知らせしています。したがって、今回発見された衛星は、19番目、20番目になります。
天王星は、この夏には、「やぎ座」にあって、ほぼ真夜中に南中し、ほとんど一晩中見ることができます。5.7等ですから、条件がよければ肉眼でも見える明るさです。探し方がわかれば、双眼鏡、小さな望遠鏡で見ることができます。「やぎ座シータ星」をもとに、少し東側を探して見るのがいいでしょう。望遠鏡の倍率を100倍くらいに上げると、青い円盤像が見えて、天王星であることの確認ができます。ただし、衛星を見るのはかなり困難です。
8月25日には、この天王星が月に隠される「天王星食」があります。月令14.0と満月に近いので、月が明るすぎて観測がやりにくいと思われますが、興味深い現象です。関心をお持ちの方は望遠鏡で観察してみてください。東京での潜入は21時2分、出現は22時11分です。
参照
1999年7月29日 国立天文台・広報普及室