【転載】国立天文台・天文ニュース(261)
「ほ座」に肉眼で見える明るい新星が出現しました。眼視で2等級よりも明るく観測されています。ただ、残念ながら、日本からは、観測不可能ではないにしても、きわめて見にくい位置です。
この新星は、5月22日、オーストラリア、サウス・ウェールズ州のウイリアムズ(Williams,Peter)と、マウント・ジョン大学天文台のギルモア(Gilmore,Alan C.)がそれぞれ独立に発見したもので、発見時の明るさは3.1等でした。明るすぎて、精密な位置測定が困難ですが、一応、
赤経 10h 44m 48s.39 赤緯 −52゜25' 30".7 (2000.0)
が求められています。南十字星の少し東側、ちょっと北寄りの位置です。「りゅうこつ座」のカノープスとほぼ同じ赤緯ですから、カノープスが見えるところなら、位置的には観測できる可能性があります。しかし、5月末から6月始めにかけては、夕刻の18時ころに南中する位置ですから、日暮れの遅い日本から観測するのは、非常にむずかしいでしょう。
この新星には、「ほ座新星1999」の呼び名が与えられました。変光星としての番号は、V382 Vel です。これまでに入った情報からみるとまだ増光中で、1.8等という観測もあります。眼視で見えた新星は1975年の「はくちょう座新星1975」以来で、これより明るい新星を探すと、1.4等まで増光した1934年の「ヘルクレス座新星」までさかのぼらなければなりません。
参照
999年5月27日 国立天文台・広報普及室
訂正:天文ニュース(260)で、新たに確認された天王星の衛星 S/1986 U10 を天王星の16番目の衛星とお伝えしました。しかし、1997年に発見された2つの衛星の、S/1997U1 とS/1997U2 を数え忘れていました。したがって S/1986 U10 は18番目の衛星になります。お詫びして訂正いたします。