『理科年表』は、国立天文台が各分野の研究機関や専門家の協力を得て編纂し、毎年改訂して丸善(株)から発行されている、世界的にユニークな「自然界の辞典」です。第1冊の刊行が大正14年(1925)という長い歴史を持つ科学の総合データブックで、科学、教育、産業、出版等広い分野の方々に、信頼できるデータ源として長く愛用されてきています。
その平成17年版(第78冊目)が11月25日に発売されますが、新たに92ページにわたる「環境部」が新設されました。これは1984年版で「生物部」を導入して以来21年ぶりの大改訂で、近年、地球環境への社会の関心がとみに高まっていることに対応し、気象庁、国立環境研究所、環境省、農林水産省、各大学等の機関・個人の協力により、気候温暖化、環境汚染や地震など、社会の現代的関心に応えるデータを大幅に集約し取りまとめたものです。
環境部の主要な項目としては、「気候変動・地球温暖化」、「オゾン層」、「大気汚染」、「水循環」、「水域環境」、「陸域環境」、「物質循環」、「化学物質と放射線」などが網羅されています。グラフや図版を充実させて、環境の経年的変化を分かりやすく示しているのも特徴です。
例えば、「各都市の日最低気温摂氏0度未満(冬日)の年間日数」を見ると、グラフから冬日が年々減ってきていることが一目でわかるようになっています。また「オホーツク海の海氷面積」は、1971年から現在までの海氷面積推移を示していますが、流氷のニュースを聞いて、このデータを活用することもできるでしょう。
国立天文台では、今後とも環境編を含め『理科年表』データの充実・最新化に努め、今後ますます高まる自然と科学に関する正確なデータの提供と普及に各方面で役立ててもらいたいと考えています。
国立天文台編『理科年表』(平成17年度版) 全体1042ページ
ポケット版(A6版) 1400円(税別) と
机上版(A5版) 2600円(税別) の2種類があります。
2004年11月24日 国立天文台・広報普及室