西山さんと椛島さん、さそり座に新星を発見

 福岡県久留米市の西山浩一 (にしやまこういち) さんと、佐賀県みやき町の椛島冨士夫 (かばしまふじお) さんが、2月20日 (世界時、以下同じ) の観測から、さそり座に10.5等の新星を発見しました。

 この天体は、焦点距離105ミリメートルのカメラレンズ (f/4) を使用したCCD観測により得られた2枚の画像 (限界等級12.7等) から発見されました。お二人はさらに、40センチメートル反射望遠鏡 (f/9.8) を用いてこの天体のCCD観測を続け、そこから得た6枚のCCD画像 (限界等級は17.4等から17.6等) から、2月21日には10.3等、2月22日には10.7等という明るさを得ています。

 この天体の発見日時と、2月21日、22日の観測から確定した位置、発見等級は次のとおり。

発見日時 2010年2月20.857日 = 2月20日20時34分 (世界時)
赤経 17時 06分 07.53秒
赤緯 -37度 14分 27.4秒 (2000年分点)
等級 10.5等

 西山さんと椛島さんは、2009年9月18日と10月3日にもこの場所を撮影していましたが、そのときの画像 (限界等級はそれぞれ13.6等、12.3等) には、この天体は写っていませんでした。また、1997年4月2日に撮影されたDSS () の画像 (限界等級18.0等) にもこの天体は写っていませんでした。

 茨城県つくば市の清田誠一郎 (きよたせいいちろう) さんは、2月22日に、南オーストラリア州にある32センチメートル反射望遠鏡を遠隔操作し、この天体の多色測光観測をしています。岡山県井原市にある美星天文台の綾仁一哉 (あやにかずや) さんは、2月23日に同天文台の1メートル望遠鏡を使った分光観測を行い、その結果、鉄の多い新星であることがわかっています。また、両者の観測から、この天体は非常に大きな星間減光を受けていることがわかっ ています。

 西山さんと椛島さんは新星発見者として知られ、昨年12月14日にわし座に新星を発見したばかりです。お二人のさらなる活躍を期待します。

:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体まで写っている。

参照:

2010年2月24日            国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)