西村さん、先月に続き、へびつかい座に新星を発見

 静岡県掛川市の西村栄男 (にしむらひでお) さんが、2月18日 (世界時、以下同様) の観測から、へびつかい座に9.4等の新星らしき天体を発見しました。この天体は、キヤノン EOS 5D デジタルカメラにミノルタ製の焦点距離120ミリメートルレンズ (f/3.5) を取り付けて撮影された2枚の画像 (限界等級12.7等) の中から発見されました。この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告されました。

 この天体の発見日時、位置、発見等級は次の通りです。なお位置と等級は、中野さんが西村さんの発見画像から測定した値です。

発見日時 2010年2月18.845日 = 2月18日20時17分 (世界時)
赤経 17時 26分 32.19秒
赤緯 -28度 49分 36.3秒 (2000年分点)
発見等級 9.4等

 西村さんは、2009年2月から10月15日の間と、今年2月2日から13.84日の間にもこの付近を観測していますが (限界等級11等)、この位置には天体は何も写っていませんでした。

 山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、2月19.778日にこの天体を観測し9.0等の明るさを得ています。また、埼玉県上尾市の門田健一 (かどたけんいち) さんも、2月19.825日にこの天体を観測し、8.9等という明るさを得ています。さらに、オーストラリアの R.Kaufman さんからは、2月19.651日と19.656日に、この天体を約9.4等で観測したとの報告が入っています。

 九州大学の山岡均 (やまおかひとし) さんの報告によると、岡山理科大学 (岡山県岡山市) の今村和義 (いまむらかずよし) さんと田邉健茲 (たなべけんじ) さんは、2月19日に同大学の28センチメートル望遠鏡を用いてこの天体の分光観測を行い、その結果、古典的新星の特徴を表していることがわかりました。岡山県倉敷市の藤井貢 (ふじいみつぐ) さんもまた、2月19日に28センチメートル望遠鏡による分光観測を行っており、鉄の輝線が特徴的な新星であることを確認しています。

 西村さんは、今年1月15日にも同じへびつかい座に新星を発見したばかりです。西村さんの今後のさらなる活躍を期待します。

参照:

2010年2月24日            国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)