西村さん、へびつかい座に新星を発見

 静岡県掛川市の西村栄男 (にしむらひでお) さんが、1月15日 (世界時、以下同様) の観測から、へびつかい座に8.4等の新星を発見しました。この天体は、キヤノン EOS 5D デジタルカメラにミノルタ製の焦点距離120ミリメートルレンズ (f/3.5) を取り付けて撮影された2枚の画像 (限界等級11.0等) の中から発見されました。この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告されました。

 この天体の発見日時、位置、発見等級は次の通りです。なお位置は、中野さんが西村さんの発見画像から測定した値です。

発見日時 2010年1月15.857日 = 1月15日20時34分 (世界時)
赤経 17時 39分 40.90秒
赤緯 -21度 39分 50.5秒 (2000年分点)
発見等級 8.4等

 西村さんは1月13.86日にも画像 (限界等級9.5等) を得ていますが、この天体は写っていませんでした。また昨年の1月29日から11月3日の間に毎月撮影された画像 (限界等級11.0等) の中にも、写っていませんでした。

 しかし西村さんは、1月14.865日に撮影した画像には、この新星の近くの位置に暗い天体があることを確認しています。中野さんは、この天体を10.1等、画像の限界等級を10.6等と測定しています。

 また、山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、1月16.856日に8.4等、埼玉県上尾市の門田健一 (かどたけんいち) さんは、1月16.860日に8.2等でこの天体を観測しています。さらに門田さんは、1997年に撮影されたDSS () の画像にこの天体が写っていなかったことを付け加えています。

 西村さんは、2009年11月にたて座に8.8等の新星を発見しています。西村さんの今後のさらなる活躍を期待します。

:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、   デジタル化したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体まで写っている。

参照:

2010年1月21日             国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)