西村さん、たて座に新星を発見

 静岡県掛川市の西村栄男 (にしむらひでお) さんが、11月8日 (世界時、以下同様) の観測から、たて座に8.8等星の新星を発見しました。この天体は、キヤノン EOS 5D カメラにミノルタ製の焦点距離120ミリメートルレンズ (f/3.5) を取り付けて撮影された2枚の画像 (限界等級12.0等) の中から発見されました。この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合に報告され、この新星は「たて座 V496」と命名されました。

 この天体の発見日時、位置、発見等級は次の通りです。なお位置と等級は、中野さんが西村さんの発見画像から測定した値です。

発見日時 2009年11月8.3699日 = 11月8日8時53分 (世界時)
赤経 18時 43分 45.65秒
赤緯 -7度 36分 41.5秒 (2000年分点)
発見等級 8.8等

 西村さんは11月7.377日にも発見時と同じ機材を使って観測し、2枚の画像 (限界等級12.0等) を得ていますが、ここにはこの天体は写っていませんでした。また2008年に得た画像の中にも、写っていませんでした。

 E. Guido さんらは、11月9.08日にアメリカのニューメキシコ州にある25センチメートル (f/3.4) の反射望遠鏡を遠隔操作し観測した結果、西村さんが発見したほぼ同じ位置に約8.5等の画像を得たと報告しています。

 また、各観測所による分光観測の結果からは、この天体が、極大期に近い、鉄が多いタイプの新星であることが示されています。

 西村さんの新星発見は、2008年5月へびつかい座に10.2等の新星を独立発見して以来です。西村さんの今後のさらなる活躍を期待します。

参照:

2009年11月17日           国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)