山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、12月29日 (世界時、以下同じ) の観測から、17.0等の超新星を発見しました。この超新星は、おとめ座方向にある NGC 5491 銀河の中にあり、板垣さんご自身が所有する口径60センチメートルの反射望遠鏡 (f/5.7) を用いたCCD観測 (限界等級19.0等) により撮影された多数の画像の中から発見されました。
この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告され、この超新星は「2009nk」と命名されました。
この天体の発見日時、位置、発見等級は次のとおり。
発見日時 2009年12月29.865日 = 12月29日20時46分 (世界時) 赤経 14時 10分 58.72秒 赤緯 +6度 21分 47.9秒 (2000年分点) 発見等級 17.0等
板垣さんの観測によると、この超新星は NGC 5491 銀河の中心から東に20秒角、南に6秒角離れた位置にあります。板垣さんは、2005年5月3日にもこの場所を観測していましたが、その画像 (限界等級19.0等) には、この天体は写っていませんでした。また、DSS (注) の画像にもこの天体は写っていませんでした。
中野さんは、埼玉県上尾市の門田健一 (かどたけんいち) さんが、12月30日に25センチメートル反射望遠鏡 (f/5) を用いて撮影したCCD画像 (限界等級18.8等) の中に、17.2等のこの天体を確認したことを付け加えています。
板垣さんは、2009年12月中だけで超新星3個を発見したことになります。今回の発見を含めた超新星の通算発見数は56個 (独立発見を含む) となり、日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録をさらに更新中です。板垣さんのさらなる活躍に期待します。
注:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体まで写っている。
2010年1月7日 国立天文台・広報室
===================================================================== おわびと訂正: 国立天文台 アストロ・トピックス (526) で、本文中に誤りがありました。 元日向けの記事のため「今年最初の月食」と表現しましたが、配信が2009年中 でしたので、以下の通り「2010年最初の月食」に訂正いたします。 本文第三段落冒頭 正)「2010年最初の月食は部分月食で、元日の早朝に起こります。」 誤)「今年最初の月食は部分月食で、元日の早朝に起こります。」