板垣さん、NGC 3839 銀河に超新星を発見

 山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、12月12日 (世界時、以下同じ) の観測から、16.6等の超新星を発見しました。この超新星は、しし座方向にある NGC 3839 銀河の中にあり、栃木県高根沢町の観測所にある口径30センチメートルの反射望遠鏡 (f/7.8) を用いたCCD観測 (限界等級19.0等) により撮影された複数枚の画像の中から発見されました。

 この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告され、この超新星は「2009mh」と命名されました。

 この天体の発見日時、位置、発見等級は次のとおり。

発見日時 2009年12月12.779日 = 12月12日18時42分 (世界時)
赤経 11時 43分 55.93秒
赤緯 +10度 46分 55.2秒 (2000年分点)
発見等級 16.6等

 板垣さんの観測によると、この超新星は NGC 3839 銀河の中心から東に23秒角、南に10秒角離れた位置にあります。板垣さんは、2002年1月19日にこの場所を観測していましたが、その画像 (限界等級19.0等) には、この天体は写っていませんでした。また、DSS (注) の画像にもこの天体は写っていませんでした。

 中野さんは、宮城県大崎市の遊佐徹 (ゆさとおる) さんが、12月13日にアメリカのニューメキシコ州にある口径25センチメートルの反射望遠鏡 (f/3.4) を遠隔操作して撮影したCCD画像 (限界等級18.6等) の中に、16.7等のこの天体を確認したことを報告しています。

 板垣さんは、今月の12月4日に NGC 3389 銀河に超新星を発見したばかりです。今回は、この発見に続き今年に入って11個目の超新星発見となりました。また、今回の発見を含めた超新星の通算発見数は55個 (独立発見を含む) となり、日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録をさらに更新中です。板垣さんのさらなる活躍に期待します。

:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体まで写っている。

参照:

2009年12月16日            国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)