冥王星に関する読書感想文が内閣総理大臣賞を受賞

 去る2008年夏の第54回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書 (小学校高学年の部) に、ハワイ観測所の布施哲治 (ふせてつはる) さんによる『なぜ、めい王星は惑星じゃないの?』 (くもん出版) が選定されたことは、「国立天文台アストロ・トピックス (391)」にてお知らせしました。年が明け2009年1月に行われた全国審査の結果、同書で読書感想文を書いた小学6年生が、最優秀賞の内閣総理大臣賞 (小学校高学年の部) を受賞しました。

 同コンクールは、今回で54年目を迎える長い歴史を持ちます。これまでにも宇宙・天文学に関する3冊の本が課題図書に選ばれていますが、いずれも20年ないし40年以上も前のことで、その内容は宇宙にまつわる物語でした。2006年に初めて惑星の定義が制定されたことを受けて出版された『なぜ、めい王星は惑星じゃないの?』は、研究者が執筆した宇宙の最前線の情報を伝える本としては初めての課題図書です。

 夏休み後に集められた感想文は、学校や地域での予備審査の後、各都道府県での選抜が行われます。2009年1月に実施された全国審査により、742編の都道府県の代表作から、『なぜ、めい王星は惑星じゃないの?』の感想文を書いた千葉県の小学6年生・田中堯 (たなかぎょう) くんが最優秀賞である内閣総理大臣賞をみごと受賞しました。

 2009年2月に東京で行われた表彰式では、小学校低・中・高学年、中学校、高校の各部で内閣総理大臣賞を受賞者した5名の中から、応募総数441万8141編の代表として田中くんが感想文を朗読、布施さんは課題図書の著者代表としてお祝いの言葉を述べました。

 メッセージの中で「宇宙の研究を志すきっかけとなった図鑑は、三十数年経ったいまも研究室の書棚に並んでいる」と布施さんは言います。「現在はコンピュータやインターネットの時代だが、それらに比べて『一冊の本の寿命』は実に長く、さらに『人生を変える力』をも備えていることを覚えておいてほしい」と子どもたちに語っていました。

参照:

2009年2月19日           国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)