板垣さん、M61 銀河に超新星を発見

 山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、12月26日と27日 (世界時、以下同じ) の観測から、14.9等の超新星を発見しました。この超新星は、おとめ座方向にある M61 (= NGC 4303) 銀河の中にあり、栃木県高根沢町にある板垣さんご自身の観測所の口径30センチメートルの反射望遠鏡 (f/8) を用いたCCD観測 (限界等級18.0等) により撮影された複数枚の画像の中から発見されました。

 この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告され、この超新星は「2008in」と命名されました。

 この天体の発見日時、位置、発見等級は次の通り。

発見日時 2008年12月26.79日前後 = 12月26日18時58分前後 (世界時)
赤経 12時 22分 01.77秒
赤緯 +4度 28分 47.5秒 (2000年分点)
発見等級 14.9等

 この超新星は M61 銀河の中心から東に102秒角、北に22秒角離れた位置にあります。

 板垣さんは、2000年3月27日にこの場所を観測していましたが、そのときの画像 (限界等級は19.0等) には、この天体は写っていませんでした。

 中野さんは、埼玉県上尾市の門田健一 (かどたけんいち) さんが2008年12月27日に25センチメートル反射望遠鏡を用いてこの天体を観測し、15.1等だったことを付け加えています。

 また、インドやアメリカの研究所などで12月29日になされた分光観測によって得られたスペクトルの示す特徴から、この天体がII型 (注) の超新星と推定されることも報告されています。

 なお、この銀河には2006年11月に14.9等の超新星「2006ov」が出現し、同じく板垣さんによって発見されていました。

 板垣さんによる超新星発見は、今月に入って2個目で、今年10個目となりました。今回の発見を含め、板垣さんの超新星発見数は通算44個 (独立発見を含む) となり、日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録をさらに更新中です。

:超新星とは星が大爆発を起こして通常の数億倍から数百億倍の明るさで輝く現象をいう。大きく分けて2つの種類が知られており、白色矮星がなんらかの理由で限界質量を超えて爆発するものと、太陽よりもずっと重い星が一生の最期に重力崩壊を起こして爆発するものがある。スペクトルの特徴から、前者はIa型、後者はIb型、Ic型、II型と観測的に分類されている。

参照:

2008年12月31日           国立天文台・広報室


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【訂正】国立天文台 アストロ・トピックス (437) で、本文中に以下の誤り
がありました。お詫びして訂正いたします。申し訳ございませんでした。
 本文最終段落
  正)「板垣さんによる超新星発見は、今年9個目となりました。」
  誤)「板垣さんによる超新星発見は、今月に入って2個目で、今年9個目と
     なりました。」
転載:ふくはらなおひと(福原直人)