山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんが、11月24日 (世界時)の観測から、約14.9等の超新星を発見しました。
この超新星は、おとめ座の銀河 M61 (=NGC 4303) の中にあり、口径60センチメートルの反射式望遠鏡 (f/5.7) を使ってCCDで撮影された画像の中から発見されました。
板垣さんは翌日にも同じ場所を撮影し、この天体が11月25.764日=11月25日18時20分 (世界時) に撮影した画像上に14.8等で写っていることを確認しています。
この発見は、兵庫県の中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告され、超新星「2006ov」と命名されました。
以下は、板垣さんによって発見された超新星の観測値です。
超新星「2006ov」が発見された日時と等級と位置 発見日 2006年11月24.86日=11月24日20時38分 (世界時) 14.9等 赤 経 12時 21分 55.30秒 赤 緯 +4度 29分 16.7秒 (2000年分点)
この超新星は、M61銀河の中心から、東に5.5秒角、北に51秒角離れた位置にあります。板垣さんは今年5月4日以前にもこの銀河を撮影していましたが、限界等級が19.5等の画像には、今回の超新星は写っていませんでした。また、中野さんは、埼玉県上尾市のアマチュア天文家、門田健一 (かどたけんいち) さんが11月25.770日 (世界時) に、口径25センチメートルの反射望遠鏡を用いて観測した画像にもこの超新星が殆ど同じ位置に15.0等で写っているのを報告しています。
また、米国のハーバード・スミソニアン天体物理学センターのS.Blondinさんら4人は、この超新星の分光観測の結果を報告しています。それによると、P.Berlindさんは11月25.56日 (世界時) にホイップル天文台の1.5メートル反射望遠鏡に分光器を据付け、可視波長域 (350-740 ナノメートル) で観測しました。その結果、この超新星は2005年にりょうけん座の銀河 M51 に出現した超新星「2005cs」が示すスペクトルに類似していることや、およそ30日前に爆発したタイプ II型の超新星であることを報告しています。
今回の超新星の発見により、板垣さんによる超新星の発見は今年だけで、すでに 10個目 (独立発見を含む) となり、通算での超新星発見数は合計26個となりました。日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録をさらに更新中です。
2006年11月28日 国立天文台・広報室