市村さん、MCG -01-2-15 銀河に超新星を発見

 埼玉県比企郡の市村義美 (いちむらよしみ) さんは、11月21日と11月22日(世界時、以下同じ) の観測から、15.2等の超新星を発見しました。この超新星は、くじら座方向の MCG -01-2-15 銀河の中にあり、口径28センチメートルのシュミット・カセグレン式反射望遠鏡 (f/8.1) を用いたCCD観測 (限界等級18.8等) により撮影された画像の中から発見されました。

 この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告され、この超新星は「2008hi」と命名されました。

 この天体の発見日時、位置、発見等級は次の通り (ただし、位置は市村さんから寄せられた画像から中野さんが測定した値)。

発見日時 2008年11月21.54日前後 = 11月21日13時前後 (世界時)
赤経 0時 26分 43.00秒
赤緯 -3度 35分 53.4秒 (2000年分点)
発見等級 15.2等

 この超新星は MCG -01-2-15 銀河の中心から西に8秒角、南に3秒角離れた位置にあります。また、中野さんは、この天体の位置と等級の測定値は、銀河本体の背景光による影響で多少不確定であると付け加えています。

 なお市村さんが、2005年12月19日にこの場所を撮影したときの画像 (限界等級18等) には、この天体は写っていませんでした。また、山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんが2008年11月22日に、60センチメートル反射望遠鏡を使って撮影した画像にこの天体が15.5等に写っていたことが、中野さんから報告されています。

 また、南米チリにあるラスカンパナス天文台で、この天体の分光観測が行われた結果、スペクトルが示す特徴からこの天体は極大等級を過ぎた超新星であることが確実となりました。

 この発見は、今年1月の NGC 634 銀河の中の超新星「2008A」の発見に続き、市村さんにとって今年2個目の超新星発見となりました。また、市村さんは今年3月、超新星の発見の功により日本天文学会の天体発見賞の受賞者の一人に選ばれるなど彗星、超新星の発見でアマチュア天文家として活躍しています。市村さんの今後の活躍を期待します。

参照:

2008年11月25日           国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)