高校生の天文研究体験学習「美ら星研究体験隊」の成果

 沖縄県の高校生を対象に、国立天文台水沢VERA (ベラ) 観測所 石垣島観測局の口径20メートル電波望遠鏡と、石垣島天文台の口径105センチメートル光学赤外線望遠鏡 (愛称:むりかぶし) を使った観測と研究を行う天文研究体験学習「美ら星 (ちゅらぼし) 研究探検隊 (以下、美ら研)」が、今年も8月11日から13日の3日間で開催されました。

 今年で3回目となる「美ら研」には、沖縄県立八重山高等学校 (石垣市) から6名、沖縄県立開邦高等学校 (那覇市) から3名の合計9名の参加があり、4班に分かれて2つの観測施設を利用し、観測体験やデータ解析などの研究体験を行いました。そして、電波星の発見と、小惑星の発見という成果をあげることができました。

 今回発見された電波星は、いっかくじゅう座にある水分子が発するメーザー(水メーザー) を伴った天体です。発見したグループは、これまでに酸化ケイ素が発するメーザー (SiOメーザー) が検出されている15個を候補天体として観測を行い、そのうちの1つに水メーザーと思われる信号を検出しました。しかし、翌日の追観測の結果、雑音と区別ができず、新しい水メーザー天体の確認には至りませんでした。

 この結果をうけて、水沢VERA観測所 水沢観測局 (岩手県奥州市) の電波望遠鏡で、8月17日にこの天体を長時間かけて観測したところ、同じ周波数に水メーザーの信号を検出することができ、「美ら研」グループが観測した天体が、新たな水メーザー天体であることが明らかになりました。

 「美ら研」による水メーザー天体の発見は、2005年に続いて2回目です (国立天文台 アストロ・トピックス (131) 参照)。メーザー天体の距離を求めて銀河系の立体地図作りをめざすVERA計画にとって、観測天体が一つでも増えることは大きな意義があります。

 小惑星は、石垣島天文台のむりかぶし望遠鏡を用いて8月3日と5日に撮影された画像から発見されました。期間中は天候が悪く観測ができず、60枚近い過去の観測画像の解析を行った中で、恒星とは異なる動きをする天体をやぎ座の方向に発見しました。

 この天体について、後日、石垣島天文台で確認観測を行ったところ、新しい小惑星の可能性が高いことが明らかになりました。中野主一 (なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合に報告をしたところ、小惑星「2008 QA3」という仮符号を得ることができました。

 今回発見された小惑星は、約19等と暗く、火星と木星の間に位置する直径数キロメートルの小さな天体であると考えられます。より正確な軌道を求めるためには、今後たび重なる観測が必要で、小惑星番号と命名 (提案) 権を得るまではまだ時間がかかりますが、発見した高校生は「二十歳の記念に小惑星に名前が付けられるとよいな」と喜んでいました。

 この2つの成果は、10月18日から行われた、第32回県高校総合文化祭科学部門・第48回県生徒科学賞作品展 (沖縄県高校文化連盟科学専門部主催) に出展され、「メーザー天体の発見」は最優秀賞に、「小惑星の発見」は優秀賞に選ばれ、表彰されました。

参照:

2008年10月29日           国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)