西山さんと椛島さん、へびつかい座に新星らしき天体を発見

 福岡県久留米市の西山浩一 (にしやまこういち) さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫 (かばしまふじお) さんが、5月31日 (世界時、以下同じ) の観測から、へびつかい座に約11.3等の新星らしき天体を発見しました。この天体は、5月31.608日と31.609日に、焦点距離105ミリメートル (f/5.6) カメラレンズを用いたCCD観測 (限界等級13.6等) により撮影された2枚の画像の中から発見されました。

 この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合に報告されました。

 以下は、この天体の発見日時、位置、発見等級です。ただし、位置は、西山さんと椛島さんが5月31.628日に口径40センチメートルの反射望遠鏡 (f/9.8)を使用して行った観測から得た値です。

発見日時 2008年5月31.608日 = 5月31日14時36分 (世界時)
赤経 17時 33分 29.67秒
赤緯 -27度 01分 16.4秒 (2000年分点)
発見等級 11.3等

 西山さんと椛島さんは、先月5月11.661日、20.649日、25.688日にこの天体の位置を観測していましたが、それぞれ13.6等、12.6等、11.8等より明るい天体は写っていませんでした。またDSS () にもこの天体は写っていないと付け加えています。

 発見後、西山さんと椛島さんは、5月31.795日に11.4等でこの新星を観測しています。また、埼玉県上尾市の門田健一 (かどたけんいち) さんは、5月31.765日と6月1.576日の観測から11.1等と11.3等、山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんも、6月1.540日と1.595日の観測から11.7等の明るさをそれぞれ得ています。

 西山さんと椛島さんは、静岡県掛川市の西村栄男 (にしむらひでお) さん、愛知県豊橋市の長谷田勝美 (はせだかつみ) さんらとともに、5月25日に同じへびつかい座に新星を発見したばかりです。今回の発見位置は、この場所から西方向に約1.5度、南方向に約3度ほど離れたところです。お二人は今年に入ってからも、すでにM31銀河に5個の新星を発見するなどしており、更なる活躍が期待されます。

:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体まで写っている。

参照:

2008年6月3日           国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)