埼玉県比企郡の市村義美 (いちむらよしみ) さんは、12月20日 (世界時、以下同じ) の観測から、16.6等の超新星を発見しました。この超新星は、りょうけん座方向にある NGC 4617 銀河の中にあり、口径28センチメートルのシュミット・カセグレン式反射望遠鏡 (f/8) を用いたCCD観測により撮影された2枚の画像 (限界等級18.0等) の中から発見されました。
この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告され、超新星は「2007ss」と命名されました。
発見日時、位置、発見等級は次の通り。
発見日時 2007年12月20.78日 = 12月20日18時43分 (世界時) 赤経 12時 41分 06.07秒 赤緯 +50度 23分 28.7秒 (2000年分点) 発見等級 16.6等
この超新星は NGC 4617 銀河の中心から、東に2.6秒角、南に7.9秒角離れた位置にあります。市村さんは、2年前にも同じ場所を観測していましたが、そのときの画像にはこの天体は写っていませんでした。また、中野さんは、DSS(注1) にもこの天体が存在してないことを付け加えています。
山形県の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、ご自身が撮影した12月21日の画像にも、この超新星が15.5等で写っていることを確認しています。また、美星天文台 (岡山県井原市) で12月23日、101センチメートル反射望遠鏡を使ったこの超新星の低分散分光観測を行った結果、スペクトル線に現れる吸収線の特徴が Ia 型を示していることから、核爆発に起因する超新星爆発であると考えることができます。
アマチュア天文家の市村さんは、1987年に彗星 C/1987 W1 (Ichimura) を発見し、2005年12月にはさんかく座方向にある IC 221 銀河に超新星「2005lx」を発見しています。今回の超新星の発見はこれに続く快挙となります。因みにこの NGC 4617 銀河では、2005年2月に板垣さんが超新星「2005ab」を発見しています。
これで今年に入り、日本人による超新星の発見数 (注2) は10個となりました。
注2:日本人が含まれるプロジェクトの観測による発見を除く数。
2007年12月25日 国立天文台・広報室