板垣さん、NGC 4036 銀河に超新星を発見

 山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんが、7月31日 (世界時、以下同じ) の観測から、16.3等の超新星を発見しました。この超新星は、おおぐま座方向にある NGC 4036 銀河の中にあり、板垣さんご自身が所有する口径60センチメートルの反射式望遠鏡 (f/5.7) を用いたCCD観測により撮影された多数の画像 (限界等級19.0等) の中から発見されました。

 この発見は、兵庫県の中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告され、超新星は「2007gi」と命名されました。

 以下は、板垣さんによって発見された超新星の観測値です。

発見日時 2007年7月31.49日 = 7月31日11時46分 (世界時)
赤経 12時 01分 23.42秒
赤緯 +61度 53分 33.8秒 (2000年分点)
等級 16.3等

 超新星「2007gi」は NGC 4036 銀河の中心から、西に23秒角、南に11秒角離れた位置にあります。板垣さんは過去、昨年11月25日 (限界等級が19.0等) 以前や今年7月23日 (限界等級が18.5等) などにも、この銀河の観測を行いましたが、今回の超新星は写っていませんでした。またDSS画像 (注) にも同様に写っていませんでした。

 また、同中央局の未同定天体情報のウェブページにこの発見が掲載されたあと、ベラルーシの V. Nevski さんも、7月31日22時9分に16.8等のこの超新星を観測したと報告しています。なお、板垣さんは8月1日、2日にも追跡観測を行っており、それぞれの明るさが15.9等、15.5等と、この超新星が増光中であることを確認しています。

 板垣さんは、今年4月の NGC 5174 銀河の超新星発見に続き、これで今年に入り5個の超新星を発見したことになります。今回の発見により、板垣さんによる超新星の発見数は通算32個 (独立発見を含む) となりました。日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録をさらに更新中です。

注:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体まで写っている。

参照:

2007年8月3日           国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)