山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんが、4月27日 (世界時、以下同じ) の観測から、17.5等の超新星を発見しました。この超新星は、おとめ座方向にある NGC 5174 銀河の中にあり、板垣さんご自身が所有する口径60センチメートルの反射式望遠鏡 (f/5.7) を用いたCCD観測により撮影された多数の画像 (限界等級19.0等) の中から発見されました。
この発見は、兵庫県の中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告され、超新星は「2007cd」と命名されました。
以下は、板垣さんによって発見された超新星の観測値です。
発見日時 2007年4月27.61日 = 4月27日14時38分 (世界時) 赤経 13時 29分 26.48秒 赤緯 +11度 00分 44.8秒 (2000年分点) 等級 17.5等
超新星「2007cd」は NGC 5174 銀河の中心から、東に9秒角、北に16秒角離れた位置にあります。板垣さんは過去、2月26日と4月11日 (いずれも限界等級が19.0等) にも、この銀河の観測を行いましたが、今回の超新星は写っていませんでした。またDSS画像 (注) にも同様に写っていませんでした。
板垣さんは4月28日にも追跡観測を行い、明るさが17.6等になっていることを確認しています。通常、超新星が発見されると、そのタイプや特徴を解明するため引き続き分光観測が行われますが、現段階では報告されていません。
板垣さんは、今年3月の NGC 5584 銀河の超新星発見に続き、これで今年に入り4個の超新星を発見したことになります。今回の発見により、板垣さんによる超新星の発見数は通算31個 (独立発見を含む) となりました。日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録をさらに更新中です。
注:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オーストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体まで写っている。
2007年5月1日 国立天文台・広報室