昨年9月の台風13号で、大きな被害を受けていた石垣島天文台 (国立天文台)は、2月末に復旧工事を終え、その後の試験観測でも性能を確認できたため、4月1日 (日) から、一般公開を再開することになりました。
石垣島天文台は、惑星や小惑星、彗星などの太陽系天体を観測研究することと、天文学の広報普及を主な目的として建設され、昨年3月12日に完成しました。国立天文台が、石垣市、NPO八重山星の会、石垣市教育委員会、沖縄県立石垣少年自然の家と共同して運営するユニークな天文台として、同年4月1日より一般に公開され、施設見学や天体観望会には毎月1000人を越える見学者があり、全国から注目されていました。
コメット・ハンターとして知られる関勉 (せきつとむ) さん (高知県立芸西天文学習館講師、高知市在住) も、このユニークな運営と天文台での微笑ましいようすに感動し、自らが発見した第13989番小惑星 (1993 BG) に、石垣島天文台の口径105センチメートル光学赤外線望遠鏡の愛称となっている「むりかぶし」 (八重山諸島のことばで、「すばる」のこと) の命名を国際天文学連合に申請し、昨年11月に認定されました。
石垣島天文台は、今年1月より本格的な復旧作業に入りました。すでに建物や望遠鏡の修復は終わり、2月末より試験観測に入っています。この試験観測では、多くの天体を観測しながら、光学調整、駆動性能の確認を行ってきましたが、このほど小惑星「むりかぶし」の撮影にも成功 (画像は、下記ホームページに掲載) し、本来の性能がほぼ回復できていることが確認されました。
このため、国立天文台では4月1日 (日) から、半年ぶりに石垣島天文台の施設公開や、観望会を再開することにしました。施設公開は、月、火曜日の休館日を除く毎日午前10時から午後5時までで、その間は「むりかぶし」望遠鏡や観測施設が自由に見学できます。天体観望会は、土、日曜日、祝日の午後7時から10時までの時間帯で3回、予約制で行います。観望会の受付は、春分の日の3月21日 (水) より施設公開の時間内で行い、電話でも受け付けます。毎月の天体観望会の時間は、ホームページで御案内します。
お問合せ先: 石垣島天文台 (国立天文台) 電話:0980-88-0013 住 所: 〒907-0024 沖縄県石垣市新川 1024-1
2007年3月12日 国立天文台・広報室
アストロ・トピックス (277) の文中の注2において誤解を招く箇所がありましたので、お詫びして、その注釈文を以下のように訂正いたします。
注2: 超新星は星の一生の最期を飾る大爆発で、ひとつの星がある日突然明るく輝き始め、ひとつの銀河全体に匹敵する程の明るさに達する現象をいう。超新星が発見されると、その物理的性質を知るために通常分光観測が行われ、そのスペクトル線の中に水素の線が見られない (または欠乏している) I型と、水素の線が見られるII型とに観測的に分類される。さらにI型の中でも核融合反応による爆発をIa型とよび、I型超新星爆発の多くを占める。Ib,Ic型は外側の水素層を失った星が重力崩壊したものと推測されている。