山形県山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんが、9月30日(世界時)の観測から、約16.6等星の新星を発見しました。
この新星は、さんかく座方向にある銀河M33(=NGC 598)の中にあり、口径60センチメートルの反射式望遠鏡(f/5.7)にCCDを据付けて撮影された画像の中から発見されました。
この発見は、兵庫県の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告されました。
以下は板垣さんによって発見された新星の観測値です。
新星が発見された日時と等級と位置 発見日:2006年9月30.684日=9月30日16時25分 (世界時) 16.6等星 赤 経:1時33分18.74秒 赤 緯:+30度49分48.1秒 (2000年分点)
この天体は、M33(=NGC 598)銀河の中心核位置から、西に6分56秒角、北に10分13秒角ほど離れたところにあります。板垣さんは先月9月23日にもこの銀河を撮影していましたが、限界等級18.5等のこの写真には、今回の新星は写っていませんでした。また、この新星は先月9月28日と29日(いずれも世界時)の両日、米国のテキサス大学のR.クインビー(R.Quimby)さん、P.モンドル(P.Mondol)さん、F.カストロ(F.Castro)さんらがマクドナルド天文台の45センチメートル望遠鏡によって発見しており、観測時の明るさは約17.3等と16.9等でした。
これで板垣さんご自身による新星発見数はM31銀河の新星を含めて先月9月だけで3個となり、今年の初めからでは6個目の発見となります(注1)。現在、板垣さんは日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録を更新中ですが、新星発見においても輝かしい貢献をされています。
注1: 超新星、新星、小惑星などの新天体発見情報は、国際天文学連合回報(IAUC)と中央局電子電報(CBET)に掲載され、これらをもとにアストロ・トピックスの原稿を作成してきました。しかし、ときどき、天文電報中央局(CBAT)のウェブサイトのみに発見情報が載ることもあります。ここに書いた新星発見個数はこれらをも含めたものです。
2006年10月4日 国立天文台・広報室