板垣さん、さらに新星と超新星を発見

 8月30日に超新星を発見したばかりの山形県の板垣公一(いたがきこういち)さんが、9月3日(世界時)にも、約16等星の新星と約16等星の超新星を立て続けに発見しました。

 新星はアンドロメダ座の銀河 M31(=NGC224)の中、超新星はくじら座の銀河 NGC 232の中にあり、ともに口径60センチメートルの反射式望遠鏡(f/5.7)にCCDを据付けて撮影した画像から発見されました。

 これらの発見は兵庫県の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告され、超新星については「2006et」と命名されました。以下、板垣さんによって発見された新星と超新星についての観測値です。

○ 新星の等級と位置
  発見日:2006年9月3日 (世界時) 約16等星
  赤 経:00時42分33.16秒
  赤 緯:+41度10分06.8 秒 (2000年分点)

 板垣さんは、この天体が明るくなる以前からの観測を報告しています。9月9月1.588日(世界時、以下同様)には20等より明るい天体はありませんでしたが、9月3.5161日16.5等、9月3.5202日16.4等、9月3.5384日16.3等、9月3.5505日16.2等、9月3.5631日16.1等、9月3.5768日16.0等となっており、なお増光中の模様です。

 なお、M31(=NGC224)銀河はアンドロメダ銀河として有名です。私たちの銀河から遠くない距離にあるため、秋冬期の夜には、双眼鏡でも観望することが可能な銀河の一つです。

○ 超新星「2006et」が発見された日時と等級と位置
  発見日:2006年9月3.77日=9月3日18時29分 (世界時) 16.1等星
  赤 経:00時42分45.82秒
  赤 緯:-23度33分30.4秒 (2000年分点)

 この天体はNGC232の中心核位置から、東に約0.3秒角、北に約11.0秒角ほど離れたところにあります。板垣さんは8月30日にもこの天体を観測しており、そのときの明るさは17等でした。また、8月24日もこの位置を観測していますが、その画像にはこの天体は写っていませんでした。

 今回の発見は、ご自身の8月30日の超新星発見(国立天文台 アストロ・トピックス (236))に続くものです。これで新星を除く板垣さんの超新星発見数(独立発見を含む)は通算21個となり、日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録をさらに伸ばしました。

参照:

2006年9月5日            国立天文台・広報室

転載:ふくはらなおひと(福原直人)