愛知県岡崎市の山本稔(やまもとみのる)さんが、2月17.84日(世界時、以下同)、いて座を撮影中のデジタルカメラの画像に8.6等級の新星と思われる天体を発見しました。この結果は九州大学の山岡均(やまおかひとし)さんを通じて、国際天文学連合に報告されました。
また、それ以前の2月17.37日、チリのLillerさんが撮影した写真上に、9.0等級の新星らしき天体を観測していますが、2月5.36日に同氏が撮影した写真には、11等星より明るい天体は写っていないことが分かりました。
その後の観測で"2006年いて座新星(NOVA SAGITTARII 2006)"と命名されました。
山本さんが測定した位置は、
赤経: 17時58分54秒 赤緯: -36度47分40秒 (2000年分点)
です。"さそり座"と"いて座"の境界よりも僅かに"いて座"側に入ったところになります。
W.Lillersさんたちが2月19日、この星の低分散分光観測を行った結果、水素のバルマー線にかなり強い輝線が確認されたことなどから、これは古典的新星の可能性が高いと推測されます。
明け方の薄明の頃、チリ北部ではこの星は高度40度ほどにもなり、観測しやすい位置になりますが、日本では高度10度程度にしかなりません。
山本さんはベテラン観測者で、2003年いて座に8.9等星の新星を発見する(国立天文台・天文ニュース (633))など、これまで多くの新星を見つけており、今回の発見はそれに続く快挙です。
天の川中心部(いて座の方向)が見やすくなりはじめた矢先の発見は、日本のアマチュア天文家の熱心さがまたひとつ足跡を示した発見と言えるでしょう。
2006年2月20日 国立天文台・広報室