新星は、天の川の方向でたくさん発見されます。私たちの銀河系の中心方向にあたるいて座では、新星が数多く見つかっていますが、毎年冬の時期には太陽がいるため、この方向の観測はできません。明け方の東の空にいて座が見える毎年この時期は、新星シーズンの到来とも言える季節です。
そのいて座に、今年も新星が発見されました。世界最初の発見は、チリのLillerさんで、2月17.37日(世界時、以下同様)に撮影した写真上に、9.0等の新しい天体を見いだしました。5.36日に氏が撮影した写真では、11.0等より明るい天体は見当たりません。また、愛知県岡崎市の山本稔(やまもとみのる)さんも、17.84日に撮影したデジカメ画像で、8.6等の天体を発見しました。山本さんが測定した位置は、
赤経: 17時58分54秒 赤緯: -36度47分40秒 (2000年分点)
で、さそり座といて座の境界、わずかにいて座に入ったところになります。
分光観測などはまだですが、この位置には昔の写真にも天体が見られないこと、X線や赤外線で明るい天体もないことなどから、古典新星である可能性が高いものと思われます。
明け方の薄明が始まる時点で、チリ北部ではこの空の場所は高度40度ほどにもなり、観測しやすいところですが、日本では高度10度ほどにしかなりません。日本のアマチュア天文家の熱心さをまたひとつ示した発見と言えるでしょう。
参考文献
- CBET 405 (2006 Feb. 18)
2006年2月19日
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