小嶋さんがへびつかい座に新星を発見

著者:前原裕之(国立天文台)

9月5日にへびつかい座の中に新たな新星が発見されました。この新星を発見したのは群馬県嬬恋村の小嶋正(こじまただし)さんで、9月5.433日(世界時; 以下同様)に撮影した画像から12.5等の新天体を発見しました。この天体は山形県の板垣さんによる5.438日と6.406日、山口県の吉本さんほかによる9月8日の観測によると、発見当日は12等台半ばだったものの、9月6-8日にかけて10等台後半から11等ほどまで明るくなったことが分かりました。この天体の正確な位置(2000.0年分点)は

赤経: 17時 30分 12.28秒
赤緯: -27度 53分 49.3秒

です。

 この天体の分光観測は岡山県の藤井貢さんによって9月6.423日に行なわれ、この天体のスペクトルは赤い連続光成分に加えて、P Cygプロファイルを持つHα、Hβ輝線がみられることが分かりました。このようなスペクトルの特徴から、この天体が古典新星であることが判明しました。また、5.722日にアフリカ天文台の口径1m遠鏡を用いて行なわれた分光観測でも同様の結果が報告されました。

この新星にはへびつかい座V4371(V4371 Oph)と変光星名が付けられましたので、以後の観測報告などにはこの名称をお使い下さい。

2025年 9月13日

参考文献

新星の画像

新星のスペクトル

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