1月26日にいて座の中に新星が発見されたのに続いて、29日にも同じいて座の二つ目の新星が発見されました。この新星を最初に発見したのは山形県の板垣公一(いたがきこういち)さんで、オーストラリアのAndrew Pearceさんも同じ日にこの新星を独立に発見しました。板垣さんは1月29.882日(世界時; 以下同様)、Pearceさんは29.846日に撮影した画像から、それぞれ独立にいて座の中に10.5-10.6等の新天体を発見しました。発見報告を受けて行なわれた観測によると、この天体の精密な位置は
赤経: 17時 59分 04.25秒 赤緯: -36度 01 分 07.1秒 (2000.0年分点)
です。
この天体の分光観測は、1月31日にチリにある口径4.1m SOAR望遠鏡を用いて行なわれ、この天体のスペクトルにはP Cygプロファイルをもつ水素のバルマー系列や一階電離した鉄、中性酸素の輝線がみられ、バルマー線ではP Cygプロファイルの吸収線は輝線に対して速度に換算して秒速1500 kmほど青方偏移していることが分かりました。このようなスペクトルの特徴から、この天体も古典新星であることが確認されました。
A. Pearceさんは、発見よりも3日前の1月26.842日に撮影された画像に、この新星が11.1等で写っていたことを報告しており、実際の増光開始は発見よりも3日以上前だったと考えられます。また、この新星は2月1-2日には10.2等ほどで観測され、発見時よりもわずかに明るくなったようです。今後の明るさの変化が注目されます。
この新星にはいて座V7992という変光星名がつきましたので、観測報告をする時はこの名称をお使い下さい。
2025年 2月 5日
新星の画像
参考文献
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