年が明けて明け方の南東の空には早くもいて座が見えるようになってきましたが、1月下旬にいて座の中に相次いで2個の新星が発見されました。一つ目の新星を発見したのは茨城県水戸市の櫻井幸夫(さくらいゆきお)さんです。櫻井さんは1月26.861日(世界時; 以下同様)に撮影した画像から、いて座の中に9.2等級の新天体を発見しました。山形県の板垣さんや山口県の吉本さんらの観測によると、この天体の精密な位置は
赤経: 18時 26分 54.54秒 赤緯: -27度 19 分 12.0秒 (2000.0年分点)
です。これまでの観測によると、この天体は発見直後は9等ほどの明るさでしたが、1月28日には9.4等、29-30日には10等前後、2月1-2日には10等台半ばまで暗くなりました。
1月31日にチリにある口径4.1m SOAR望遠鏡を用いて行なわれた分光観測によると この天体のスペクトルには幅の広い水素のバルマー系列や一階電離した鉄、中性酸素、ナトリウムの輝線がみられ、バルマー系列の輝線の線幅は速度に換算して秒速6000 kmにもなることが分かりました。このようなスペクトルの特徴から、この天体が古典新星であることが確認されました。
この新星にはいて座V7991という変光星名がつきましたので、観測報告をする時はこの名称をお使い下さい。
2025年 2月 5日
新星の画像
参考文献
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