9月9日にさそり座の中に新たな新星が発見され、11日は9等台まで明るくなりました。
この新星を発見したのは、山形県の板垣公一(いたがきこういち)さんで、9月9.436日(世界時; 以下同様)に焦点距離180mmのレンズとCCDカメラを用いて撮影した画像から、さそり座の中に11.4等の新天体を発見しました。この天体はオーストラリアのAndrew Pearceによっても9.474日に11.3等で独立に発見されました。北海道の上田さんによると、この天体は板垣さんの発見の直前の9.407日には11.6等以下で写っていませんでしたが、McNaughtさんが9.410日に撮影した画像には11.5等で写っていたことから、発見直前に急速に増光を始めたものと思われます。山口県の吉本さんの観測によると、この天体の正確な位置は
赤経: 17時 06分 46.52秒 赤緯: -35度 28分 06.9秒 (2000.0年分点)
です。
南アフリカ サザーランド天文台の1.9m望遠鏡で9.764日に行われた分光観測によると、この天体のスペクトルにはP Cygプロファイルを持つ水素のバルマー系列や中性ヘリウムの輝線がみらることが分かりました。このようなスペクトルの特徴から、この天体が古典新星であると判明しました。
VSOLJやAAVSOに報告された観測によると、この新星は発見後も増光を続け、9月11日に9等台後半まで明るくなりました。その後は減光を始め、9月22日には11等台後半まで暗くなりました。この天体にはさそり座V1725と変光星名がつけられましたので、以後の観測報告はこの名称でお願いします。なお、板垣さんによって今年に入ってから発見された新星は、独立発見も含めると、3月に発見されたへびつかい座新星(V4370Oph)と7月にいて座に発見された新星(ASASSN-24fb = TCP J17490276-2324066)に次いで、このさそり座新星(V1725 Sco)で3個目です。
2024年 9月24日