こぎつね座の中に7月29日に新たな古典新星が発見され、9等台まで明るくなりました。この新星を発見したのは、ロシア連邦カラチャイ・チェルケス共和国に設置したカメラによる銀河面付近の新天体サーベイ"New Milky Way" (NMW) surveyを行なっているグループで、7月29.832日(世界時; 以下同様)に撮影した画像から、こぎつね座の中に11.2等の新天体を発見しました。山口県の吉本さんの観測によると、この天体のの正確な位置は
赤経: 19時 43分 07.50秒 赤緯: +21度 00分 21.4秒 (2000.0年分点)
です。この天体は群馬県の小嶋さんが発見の0.3日前の7月29.513日に撮影した画像には14等以下で写っていないことから、発見直前に急激に明るくなったものと思われます。
この天体の分光観測は7月30.47日に京都大学岡山天文台の3.8mせいめい望遠鏡を用いて行なわれ、この天体のスペクトルにP Cygプロファイルを持つ水素のバルマー系列や中性酸素の輝線が見られること、P Cygプロファイルの吸収成分は輝線成分に対して秒速1900 kmほど青方偏移していることが分かりました。このようなスペクトルの特徴から、この天体が極大光度付近の古典新星であることが判明しました。
この天体は7月30日に9等台後半まで明るくなりましたが、その後は7月31日に10等台前半、8月1日には10等台後半まで暗くなったことが観測されました。今後の明るさの変化が注目されます。なお、この天体にはこぎつね座V615と変光星名がつけられましたので、以後の観測報告はこの名称でお願いします。
新星の画像
参考文献
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