さそり座に明るい新星が出現、櫻井さんが独立発見

著者:前原裕之(国立天文台)

さそり座の中に7等級の明るい新星が発見されました。新星を発見したのはオーストラリアのAndrew Pearceさんで2月9.844日に撮影した画像から7.3等の新天体を発見しました。また、茨城県水戸市の櫻井幸夫さんもこの天体を9.836日に7.1等に独立に発見しました。Pearceさん櫻井さんが7.84日に撮影した画像にはこの天体は写っていませんでしたが、Pearceさんが8.827日に撮影した画像はこの天体が7.8等で写っており、2月7.8日から8.8日の1日の間に明るくなってきたものと思われます。Pearceさんが行なった確認観測によると、この天体の精密な位置は

赤経: 17時 26分 18.06秒
赤緯: -38度 09分 36.3秒  (2000.0年分点)

です。

この天体の分光観測はチリにある口径4.1m SOAR望遠鏡を用いて2月10.4日に行なわれました。その結果、この天体のスペクトルには線輪郭がP Cygプロファイルや吸収線となっている水素のバルマー系列や一階電離した鉄、中性の酸素やナトリウムのスペクトル線がみられることが分かり、この天体が極大付近の古典新星であることが確認されました。

発見後の観測から、この新星は2月10.8-11.3日ごろには6等台後半まで明るくなり、12.3日には7等台半ばまで暗くなったことが報告されました。天体の位置は赤緯-38度と南に低いですが、まだしばらくは小口径の望遠鏡でも見ることができるものと思われます。今後の明るさの変化が注目されます。

なお、この新星にはさそり座V1723(V1723 Sco)との変光星名が付けられましたので、今後の観測報告にはこの名称をお使い下さい。

2024年 2月13日

参考文献

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