中村さんがいて座に新星を発見

著者:前原裕之(国立天文台)

三重県亀山市の中村祐二さんは1月27.8704日(世界時; 以下同様)に口径10cmの望遠鏡を用いて撮影した画像からいて座の中に9.7等級の新天体を発見しました。 この天体は板垣さんや加藤さん、野口さんらによって確認観測が行なわれ、10等前後の明るさで観測されました。野口さんによる観測によると、この天体の正確な位置は

赤経: 18時 02分 53.58秒
赤緯: -29度 14分 14.2秒  (2000.0年分点)

です。

この天体の分光観測は2月1.4日にチリにある口径4.1m SOAR望遠鏡によって行なわれ、この天体のスペクトルには水素のバルマー系列や中性の酸素・ヘリウム、一階電離した窒素・鉄の輝線がみられることが分かりました。これらの特徴からこの天体が古典新星であることが判明しました。 vsolj-obs MLに報告された観測結果によると、この天体は発見直後から2月上旬までの間にゆっくりと暗くなっており、1月28日にはVバンドで11等台前半、2月11日には11等台後半で観測されました。 この天体の位置は赤色変光星OGLE-BLG-LPV-190334 の位置に近く、この天体が増光前の天体かどうかや明るさやスペクトルの変化など、今後の観測結果が注目されます。

2024年 2月13日

参考文献

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