カシオペヤ座に新星が出現

著者:前原裕之(国立天文台)

 7月下旬にカシオペヤ座の中に発見された新星が11等ほどの明るさになっています。この新星は7月27.9302日(世界時; 以下同様)に、ロシアのKa-Dar天文台で焦点距離135mmのレンズとCCDカメラを用いて撮影された画像から、同天文台のS. Korotkiyさんとモスクワ大学のK. Sokolovskyによって12.9等の新天体として発見されました。また、発見後の調査でスペインのラ・パルマのFRAM-ORM広視野カメラで発見前の27.23087日に撮影された画像にこの天体が13.15等で写っていることが分かりました。この天体の位置は

赤経: 00時 11分 42.96秒
赤緯: +66度 11分 20.8秒  (2000.0年分点)

です。

この天体の分光観測は7月29日にコーカサス山天文台の2.5m望遠鏡で行なわれ、この天体のスペクトルには、P Cygプロファイルを持つ水素のバルマー系列の輝線や一階電離した鉄、中性のナトリウムの輝線が見られることが分かりました。このようなスペクトルの特徴から、この天体が古典新星であると判明しました。 この新星は発見後の7月29-30日ごろにいったん14等近くまで暗くなったものの、その後はゆっくりと増光を続けています。これまでにVSOLJに報告された観測によると、この新星は8月1日に13等、8月4日ごろには12等、8月9日ごろには11等まで明るくなりました。今後の明るさの変化やそれに伴なうスペクトルの変化が注目されます。

2020年8月11日

参考文献

※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利です。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。