板垣さん、小嶋さん、西村さん、山本さん、中村さんがさそり座に新星を発見

著者 :前原裕之(国立天文台)

天の川の近くにあるさそり座にはこれまでも多数の新星が発見されていますが、9月15日に新たな新星がさそり座λ星のやや北に発見されました。新星を発見したのは、いずれもこれまでに新星をはじめとする多数の新天体を発見されてきた、板垣公一(いたがきこういち)さん、小嶋正(こじまただし)さん、西村栄男(にしむらひでお)さん、山本稔(やまもとみのる)さん、中村祐二(なかむらゆうじ)さんです(記載の順番はTOCPへの掲載順)。

板垣さんは9月15.4247日(世界時; 以下同様)、小嶋さんは15.412日、西村さんは15.442日、山本さんは15.4237日、中村さんは15.4203日に撮影した画像から、それぞれ独立に11等ほどの新天体を発見しました。板垣さんの観測によると、この天体の位置は

赤経: 17時37分09.53秒
赤緯: -35度10分23.4秒  (2000.0年分点)

です。ASAS-SNの観測によると、この天体は9月13.138日には14.6等よりも暗かったものの、発見前日の14.137日には13.4等、14.884日に13.1等と、既に明るくなり始めていたことが分かりました。

チリのセロ・トロロ天文台の口径4.1mSOAR望遠鏡を用いて行なわれた分光観測から、この天体のスペクトルにはP Cygプロファイルを持つ幅の広い水素のバルマー系列や中性酸素、1階電離した鉄の輝線がみられることが分かり、この天体が古典新星であることが確認されました。

なお、この新星にはV1707 Scoという変光星名が付けられていますので、観測報告をする際にはこの名称をお使い下さい。

2019年9月18日

参考文献

新星の画像

※ この「VSOLJニュース」の再転載は自由です。一般掲示、WWWでの公開等にも自由にお使いください。資料として出版物等に引用される場合には出典を明示していただけますと幸いです。継続的・迅速な購読をご希望の方は、VSOLJニュースのメーリングリスト vsolj-news にご加入いただくと便利です。購読・参加お申し込みは ml-command@cetus-net.org に、本文が subscribe vsolj-news と書かれたメールを送信し、返送される指示に従ってください。なお、本文内容に対するお問い合わせは、著者の連絡先までお願い致します。