へびつかい座に新星が出現

著者:前原裕之(京都大学)

 へびつかい座といて座の境界近くに新たな新星が発見され、9等台にまで明るくなっています。Brazilian Transient Search (BraTS)のC. Jacquesさん, J. Barrosさん, E. Pimentelさん, P. Holvorcemさんらのグループは、8月8.96日(世界時; 以下同様)に口径28cmの望遠鏡とCCDカメラを用いて撮影した画像から11.1等の新天体を発見しました。この天体は発見の半日ほど前の8月8.49日に愛知県の山本さんが撮影した画像には12.5等以下で写っておらず、発見直前に急速に明るくなったと思われます。この天体の位置は

赤経:17時42分24.08秒
赤緯:-20度53分08.8秒 (2000.0年分点)

です。

 この天体の分光観測はラ・パルマ島にある口径2mのリバプール望遠鏡で8月9日に行なわれ、P-Cygniプロファイルを持つ水素のバルマー系列の輝線の他、中性の酸素や窒素、一階電離した鉄やシリコンなどの輝線がみられることが分かりました。このようなスペクトルの特徴から、この天体が古典新星であることが判明しました。

 発見後の観測によるとこの新星は8月10日には10等級、11日には9.5等程度まで明るくなり、VSOLJやAAVSOなどに報告された観測データによると、13日には9等ほどで観測されました。今後の明るさの変化が注目されます。

2018年8月14日

参考文献

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