小嶋さん、西村さん、中村さんがいて座に新星を発見

著者:前原裕之(京都大学)

新星は天の川銀河の中心方向に見える星座の中に多く発見される傾向がありますが、そのような星座の1つのいて座の中に、新たな新星が発見されました。新星を発見したのは群馬県嬬恋村の小嶋正(こじまただし)さんと、静岡県掛川市の西村栄男(にしむらひでお)さん、三重県亀山市の中村祐二(なかむらゆうじ)さんです。小嶋さんは4月8.723日に焦点距離200mmのレンズとデジタルカメラを用いて撮影した画像から、西村さんは4月8.728日に同じく焦点距離200mmのレンズとデジタルカメラを用いて撮影した画像から、11.2等の新天体をそれぞれ独立に発見しました。また、中村さんも4月8.788にに焦点距離135mmのレンズとCCDカメラを用いた画像からこの天体を11.3等の新天体として独立に発見しました。千葉県の清田さんや野口さん、山口県の吉本さん他による観測によると、この天体の正確な位置は

赤経  18時04分09.46秒
赤緯  -18度03分55.9秒  (2000.0年分点)

です。

岡山県の赤澤さんは4月9.827日にこの天体の分光観測を行ない、この天体のスペクトルにP Cygプロファイルを持つHα輝線がみられることを報告しました。また、キット・ピークのMDM天文台の2.4m望遠鏡を使った観測によると、Hα以外の水素のバルマー系列や1階電離した鉄もP Cygプロファイルを持つ弱い輝線としてみられることが報告されており、これらのスペクトル特徴から、この天体が古典新星であると判明しました。

2018年4月12日

参考文献

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