中村さんがおおいぬ座に新星を発見

著者:前原裕之(京都大学)

天の川の近くに見えるおおいぬ座はみかけの明るさが最も明るい恒星のシリウスがある星座としても有名で、この季節には夕方の南の空に見ることができます。

そんなおおいぬ座の中に新星が発見されました。新星を発見したのは三重県亀山市の中村祐二(なかむらゆうじ)さんです。中村さんは3月24.4964日(世界時; 以下同様)に口径10cmの望遠鏡で撮影した画像から12等の新天体を発見しました。この天体は中村さんが3月17.5107日に撮影した画像には写っていませんでしたが、ASAS-SNの23.153日のデータでは既に15.5等ほどで写っており、中村さんによる発見の1日前ごろから明るくなり始めていたことが分かりました。この天体の位置は

赤経 07時 13分 45.9秒
赤緯 -21度 12分 33秒  (2000.0年分点)

です。

3月25.1日チリにあるSOAR 4m望遠鏡を用いた分光観測によると、この天体のスペクトルにはP Cygniプロファイルを示す水素のバルマー系列の輝線の他、一階電離した鉄や酸素の禁制線も輝線としてみられることが分かりました。このようなスペクトルの特徴から、この天体が古典新星であることが確認されました。千葉県の清田さんや長崎県の森山さん、愛知県の広沢さんによる観測では、この新星は3月25日には発見時とほぼ同じ12等程度の明るさだったことが報告されました。今後の明るさの変化が注目されます。

2018年3月27日

参考文献

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