山形県の活発な超新星ハンターである板垣公一さんによって3月2.5日(世界時)に発見された超新星SN 2018zdが13等台に増光しています。SN 2018zdは、地球からおおよそ6500万光年にある近い銀河のNGC 2146に発見されました。超新星の位置は、
赤経 06時18分03.2秒 赤緯 +78度22分00.9秒
と発見者の板垣さんによって報告されています。この位置は、NGC 2146の中心から104.5秒西、35.6秒北です。また、発見時には約18等の明るさと報告されました。その後、この超新星のガス成分に含まれる物質を決定する観測(分光観測)がグローバル・スーパーノヴァ・ネットワーク(Global SN Network)およびズウィッキー・トランジェント・ファシリティ(ZTF)によって実施されました。その結果、水素・ヘリウムによって輝線が見られるII型の一種であることが報告されました。
その後、我々を中心として日本の光赤外線大学間連携を通じた観測が実施され、増光したのが確認されました。この中で、たとえば国立天文台に所属する石垣島天文台むりかぶし望遠鏡による観測では3月20日の時点で13.8等と、とても明るくなっていることがわかりつつあります。これらの研究は現在進行中です。
増光期のごくわずかな時期に見られる水素やヘリウムの輝線は、超新星自身の噴出物質と周囲に分布するガスとの相互作用が原因と考えられています。近年の研究によって、このようなガスは、星が爆発を引き起こす直前に、星自身によってまき散らされたと指摘されています。しかしながら、そのような現象は必ずしも観測されるわけではなく、全くの未解明と言って良いような状況にあります。今後、この超新星をめぐって国際的が研究競争が引き起こされることが予期されます。
また、13等台に到達するような超新星は、年間2,3天体と比較的珍しく、今が見頃と言えます。今後も目の離せない超新星の一つとなりました。
2018年3月23日
参考文献
- 板垣, TNS #17089
- Neill, TNS #1766
- Hosseinzadeh, TNS #1768