さそり座に新たな新星が出現

著者:前原裕之(京都大学)

私達の天の川銀河の中には、今年に入ってから日本から見えないものも含めると既に5個の新星が発見されていますが、6個目となる新星がさそり座に発見されました。新星を発見したのはAll Sky Automated Survey for SuperNovae (ASAS-SN)のチームで、2月24.36日(世界時)にチリのセロ・トロロ天文台に設置された口径14cmの望遠鏡とCCDカメラを使って撮影した画像から14.3等の新天体(ASASSN-18ds)を発見しました。この天体の位置は

赤経  17時 03分 47.51秒
赤緯  -38度 16分 57.1秒 (2000.0年分点)

です。

2月25日にラ・シヤ天文台の3.6m望遠鏡で行なわれた分光観測から、この天体のスペクトルには水素のバルマー系列や1階電離した鉄の輝線がみられることが分かりました。また、27日に南アフリカ大型望遠鏡(SALT)で行なわれた分光観測では、前述の水素や鉄に加えて中性の酸素や1階電離したカルシウム等の輝線がみられた他、これらの輝線がP Cygプロファイルを示すことも分かりました。このようなスペクトルの特徴から、この天体が古典新星であることが判明しました。AAVSOなどに報告された観測データによると、この新星は3月1日に12等ほどにまで増光しており、今後の明るさの変化等が注目されます。

2018年3月4日

参考文献

新星の画像

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