冬から春にかけては地球から程良く近い距離にある銀河の観測シーズンです。日本のアマチュア天文家による明るい超新星の発見が相次いでいます。広島県の坪井正紀さんによって、世界時2月8日15時(日本時間では2月9日午前0時)に地球からの距離約 3900万光年の近傍銀河NGC 3941に明るい超新星SN 2018pvが発見されました。
この超新星の位置は、
赤経:11時52分55.7秒 赤緯:+36度59分11.60秒 (2000.0年分点)
です。超新星は銀河の明るいバルジに発見されています。
広島大学1.5mかなた望遠鏡による即応的な追観測の結果、測定誤差が大きいものの11等台程度に達していることが明らかになりました。なお、このデータはRバンドと呼ばれる赤い色の光を通すフィルターで取得されています。また、Bバンドと呼ばれる青いフィルターにおいては、13等程度と測定されています。
広島大学かなた望遠鏡においては同晩に分光観測も実施しており、極大光度に到達する数日前のIa型超新星と同定されています。スペクトルには初期のIa型超新星由来であるケイ素やカルシウム、酸素といった吸収線が見られています。特に、Ia型超新星の中でもやや暗いサブグループのものと合致します。また、銀河内に分布する固体微粒子由来と考えられる吸収線も見られ、強い散乱を受けていると考えられます。このため、この超新星は赤い色を示しています。
先日、板垣公一さんによって発見されたIa型超新星SN 2018gvが12等台に到達する見込みというニュースが流れたばかりですが、SN 2018pvはそれを上回る明るさです。残念なことに、銀河の明るいバルジによる影響が大きいため、小口径の望遠鏡では銀河と超新星の分離が難しいかもしれません。大気の揺らぎが比較的落ち着いている晩での観察がより良いでしょう。
2018年2月10日
参考文献
- 坪井, TNS #16800
- 山中, 川端, 中岡, Huang, ATEL #11278