板垣さんがへびつかい座に新星を発見

著者 :前原裕之(国立天文台)

5月になり今年初の真夏日を記録する地域も出てきましたが、星空のほうも深夜から明け方にかけて夏の星座が見られるようになってきました。空の暗い場所でかつ月明かりがなければ、午前1-2時くらいには南東の空に私たちの天の川銀河の中心方向が見えるようになります。天の川の近くに位置する星座のひとつのへびつかい座の中に新星が発見されました。新星を発見したのは山形県の板垣公一(いたがきこういち)さんです。

板垣さんは5月8.638日(世界時、以下同様)に口径20cmの望遠鏡とCCDカメラで撮影した画像から13.6等の新天体を発見しました。この天体は千葉県の清田さんや山口県の吉本さんらによって確認観測が行なわれ、この天体が極めて赤い色をしていることが分かりました。板垣さんの観測によるこの新星の位置は

赤経: 17時 39分 46.08秒
赤緯:-24度 57分 55.5秒         (2000.0年分点)

です。

この天体の分光観測は5月11.15日にスペインのカナリア諸島にあるリバプール・ジョン・ムーア大学の2m望遠鏡で行なわれました。この天体のスペクトルには強いHα輝線の他、中性酸素や1階電離した鉄などの輝線がみられ、このようなスペクトルの特徴からこの天体が古典新星であることが判明しました。

2017年5月15日

参考文献

新星の画像

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