西山さんと椛島さん、藤川さんがへびつかい座に新星を発見

著者 :前原裕之(国立天文台)

先月末にはいて座に、今月上旬にはわし座に相次いで新星が発見されましたが、今度はへびつかい座に別な新星が発見されました。新星を最初に発見したのは福岡県久留米市の西山浩一(にしやまこういち)さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫(かばしまふじお)さんのチームで、香川県観音寺市の藤川繁久(ふじかわしげひさ)さんもほぼ同時刻にこの新星を独立に発見しました。

西山さんと椛島さんは10月11.4129日(世界時;以下同様)に焦点距離105mmのレンズとCCDカメラを用いて撮影した画像から11.8等の新天体を発見し、その直後に口径50cmの望遠鏡でもこの天体を確認しました。また、藤川さんは11.415日に撮影した画像からこの天体を発見しました。西山さんと椛島さんの確認観測によると、この天体の位置は

赤経:17時34分47.75秒
赤緯:-24度09分04.2秒    (2000.0年分点)

です。この天体は西山さん・椛島さんのチームや藤川さんの発見よりもわずかに前の11.394日に、群馬県の小嶋正さんによって撮影された画像にも12等で写っていたことが報告されました。西山さん椛島さんのチームが10月7日に撮影した画像には写っておらず、発見前の数日の間に明るくなってきたと考えられます。発見の報告を受けて千葉県の清田さんや宮城県の遊佐さんらによって確認観測が行なわれ、12等ほどの明るさの赤い色をした天体であることが分かりました。

この天体の分光観測は11.99日にウェスリアン大学のチームによって、12.421日に岡山県の藤井さんによって行なわれ、"P Cyg"プロファイルを持つHαおよび中性酸素の輝線がみられることが分かりました。また、ナトリウムの強い吸収線がみられることや、連続光成分が長波長側ほど強く赤い色をしていることも分かりました。これらの特徴からこの天体は星間物質による赤化を受けた古典新星であることが判明しました。西山さんと椛島さんのチームによる新星・超新星の発見はこの天体で100個目(銀河系内の新星24個、銀河系外の新星74個、超新星2個)となりました。

参考文献

新星の画像

新星のスペクトル

2015年10月16日

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