おおぐま座のM 82は、爆発銀河という別名でも有名な、星形成がたいへん活発な銀河です。M 82では、これまで大質量星が重力崩壊したタイプの超新星がいくつか検出されています(超新星2004amなど)が、このたび発見された超新星は、白色矮星の核爆発によるもので、重力崩壊によるものよりもかなり明るくなります。
今回の超新星は、University London Observatory(イギリス)のS.J.Fosseyさんが、学生たちと35cmシュミットカセグレン望遠鏡で1月21.80日(世界時、以下同様)に撮影した画像で見つけたものです。超新星の位置は、
赤経 9時55分42.14秒 赤緯 +69度40分26.0秒 (2000.0年分点)
で、銀河の中心から西に54秒、南に21秒の位置にあたります。
発見報を聞いて、山形市の板垣公一さんは、自身が50cm反射望遠鏡で撮影した画像を調べたところ、14.559日には17.0等よりも明るい天体は見られなかったいっぽう、15.571日には14.4等で見えており、毎日どんどん明るくなっていたことがわかりました。また、15.378日にはすでに明るかったという報告もあります。爆発してから1週間ちょっとの天体のようです。23日現在の明るさは11等ほどです。
広島大学かなた望遠鏡や、岡山県井原市の美星天文台を含め、世界各地の天文台で分光観測が行なわれ、この超新星は白色矮星が爆発したIa型と判明しました。幅の狭いNa D吸収線が深く、多色測光でもB-Vが1以上の赤っぽい色をしていることから、星間吸収によってかなり減光しているもようです。赤外線に感度がある機材では明るく写るでしょうが、観測値をきちんと相互比較するには、測光用フィルターを用いた観測が必要です。もちろん、眼視やフィルターなしの撮影でも、明るさを見積もることはできますから、自分の機材で可能な方法でご覧になるといいでしょう。
極大は1月末から2月頭くらいになると予想されますので、口径があまり大きくない望遠鏡でも、今後しばらく明るさの変化を追うことができそうです。これまで超新星を観測したことがない人には、大きなチャンスです。これからの光度変化が楽しみです。
参考文献
- CBET 3792 (2014 Jan. 23)
- ATEL 5786, 5789
- 板垣さんの発見前画像
- 爆発前のHST画像(ATEL 5786)
2014年1月23日