矮新星かみのけ座AL、6年ぶりのスーパーアウトバースト

著者:大島誠人

 かみのけ座は、名前はある程度知られているものの、「あまり明るい星のないエリア」として知られている星座であるかと思います。かみのけ座の方向は、銀河面を赤道にみたてたときちょうど北極に当たる方向にちかく、「天の北極」がある星座なのです。つまりもっとも銀河面から遠いところにある星座の一つといえるわけで、明るい星がほとんどないのもこのことによります。もっともこれは裏を返せば星間物質がほとんどないということでもあるため、このかみのけ座の方向には多くの遠方銀河があります。

 このかみのけ座にある変光星の一つ、かみのけ座ALもやはり(あまり遠方ではありませんが)系外銀河のひとつ、M88のすぐそばにある矮新星です。この天体のアウトバーストはかなりまれで、最近では1995年4月、2001年5月、2007年10月とおおよそ6年毎にアウトバーストを示しています。

 前回のアウトバーストから再び6年がたち、このたびまたかみのけ座ALがスーパーアウトバーストを始めました。発見したのはイタリアのC. Gualdoniさんで、12月6日に12.74等(V等級)まで明るくなっていました。

 かみのけ座ALは矮新星のうちの「や座WZ型矮新星」に属することが知られています。このサブグループはスーパーアウトバースト初期に「早期スーパーハンプ」と呼ばれる軌道周期とほぼ一致する変動が見られることが知られていることから、発見を受けて各地で確認観測が行われました。結果、アメリカのS.Dvorak氏、京都大学のグループなどによって早期スーパーハンプが受かりました。

 この天体は引き続きスーパーアウトバーストの状態を続けており、現在はまだ早期スーパーハンプを示しています。しかし、近いうちに通常のスーパーハンプに移り変わると考えられます。

 正確な位置は、以下のとおりです。

赤経 12時32分25.8秒
赤緯 +14度20分43秒 (2000.0年分点)

 まだ明け方の空にしか観測できないためか、重要な天体であるにも関わらず、意外に観測がなされていないようです。しかし、近年の矮新星に関する理論的研究から、通常のスーパーハンプの初期における観測が系についての情報を知る上で非常に重要な段階であることが判明しており、早期スーパーハンプから通常のスーパーハンプ初期の観測は非常に重要なデータとなりえます。今後さらに観測が望まれます。

参考文献

2013年12月16日

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