藤川さんがいっかくじゅう座に新星を発見

著者:前原裕之(京都大学花山天文台)

暑い夏の季節ですが明け方には早くもオリオン座など、冬の星座が見えるようになってきました。そんな冬の星座のひとつであるいっかくじゅう座の中に、9等台の新星が発見されました。

赤経: 06時 39分 38.57秒
赤緯:+05度 53分 53.0 秒    (2000.0年分点)

です。

この天体の分光観測はフランスのC. BuilさんやJ. Edlinさん、岡山理科大学の今村さんらによってそれぞれ行なわれました。この天体のスペクトルには水素のバルマー系列や、中性ヘリウム等の輝線がみられたことから、古典新星であることが判明しました。今村さんは分光観測の結果からこの新星は最も明るい時期を過ぎていることを指摘しました。この新星は、太陽に近くて観測が困難な時期に新星爆発を起こし、極大時にはもっと明るかった可能性があります。また九州大学の山岡さんによると、この天体の位置にはUSNOカタログに17.7等の天体があるとのことで、もしこの天体が増光したとすると、少なくとも8.5等ほどの増光を示したことになります。今後の明るさやスペクトルの変化、増光前の天体の正体などが注目されます。

参考文献

2012年8月18日

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