節電のためいつもより暑さが体にこたえる夏も終わりつつありますが、そんな中また新たに明るい矮新星がりゅう座に発見されました。
発見したのは、新天体の捜索を積極的に行っている静岡県の西村栄男さんです。西村さんは捜索観測中、2011年9月5.529日に得られた画像の中から11.8等(CCDノーフィルター)の新天体を発見しました。新天体の位置が20等の天体に同定されることから、これは変光範囲が8等前後の増光天体であろうと考えられました。
この程度の増光範囲を持つ天体としては、増光範囲の広い矮新星が疑われます。この発見を受けて茨城県の清田誠一郎氏により多色測光観測が行われた結果、この新天体が比較的青い天体であり、新星であるより矮新星である可能性が高いことが示されました。一方岡山県の藤井貢さんによって分光観測も行われ、水素の輝線が見られるもののあまり幅広いものでないことなどから、やはりこの天体は矮新星の特徴を示していると考えられます。
その後、P.ダボフスキー氏(スロバキア)やG.マシ氏(イタリア)氏によって連続測光観測が行われ、0.1等程度の小さな幅の変動が見られることが報告されました。このことから、この天体は矮新星の中でも特に増光幅が広いサブグループであるWZ Sge型矮新星の天体であり、現在スーパーハンプと呼ばれる変動が発達しつつある状態にあるのだろうと考えられます。
この天体の詳しい位置は、以下のとおりです。
赤経 18時42分28.1秒 赤緯 +48度37分42秒 (2000.0年分点)
新天体がWZ Sge型矮新星である場合、1ヶ月程度この増光は続くと考えられます。光度としても12-13等前後の時期が長く続くと思われますから、中口径の望遠鏡をお持ちの方はその姿をとらえられることでしょう。
参考文献
- vsnet-alert 13644, 13645, 13648,13649, 13650
- CBAT "Transient Object Followup Reports"
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