西山さんと椛島さんがいて座に今年2個目の新星を発見

著者:前原裕之(京都大学花山天文台)

 私たちの銀河系の中心方向に見えるいて座には、これまでにも多数の新星が発見されています。最近では2009年に4個、2010年は2個の新星が発見されています。銀河系内新星の宝庫といえるいて座に、今年2個目の新星が発見されました。発見したのは、福岡県久留米市の西山浩一(にしやまこういち)さんと佐賀県みやき町の椛島冨士夫(かばしまふじお)さんのチームで、これまでにも多数の新星を発見している熱心な捜索者です。

 西山さんと椛島さんは、3月27.832日(世界時、日本時間では28日早朝)に105mmレンズを装着したCCDカメラで撮影した画像から、11.7等の新天体を発見しました。直後に口径40cmの望遠鏡で撮影した画像から求めたこの天体の位置は

赤経  18時10分21.35秒
赤緯 -23度05分30.6秒    (2000.0年分点)

でした。また、この位置には3月26.837日などに撮影された画像には13等よりも明るい天体は写っていませんでした。

 この天体の分光観測は、京都産業大学神山(こうやま)天文台チームによって、同天文台の1.3m荒木望遠を用いて発見翌日の29日早朝に行なわれました。得られたスペクトルには、水素のHαとHβ輝線、一階電離した(電子を1個失なった)鉄の輝線がみられたことから、この天体が古典新星であることが確認されました。また、この天体は銀河系内のガスやチリによる吸収を強く受け、赤い色をしていることが、分光や測光観測から報告されています。

参考文献

2011年3月29日

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